2005年 01月 30日
好きな映画監督を3人選べと尋ねられたら答えられますか?
わたしはすぐに言える。ヒッチコックとワイルダー、それにキューブリック。そんなに技法に通じているわけでもないので難しいことはわからないけど、まあこの3人の映画がもっとも好きだということだ。 物置で「お楽しみはこれからだ」という小粋なタイトルの本を見つけたのが中学のころ。イラストレーターであり、映画好き(評論家という言葉は合わないきがするので)、Jazz好きといった多才である和田誠さんの著書である。 これがめっぽう面白い。映画一本につき「名ゼリフ」を一つ選ぶ。それに本業のイラストをつけてコラムを書く、といった形式の本だった。彼は人の「似顔絵」がうまいことで有名なので「お楽しみはこれからだ」に書かれている俳優の顔も、むむむと思うぐらいに似ている。そんなところも楽しめる本なのだ。 難解な映画ものっていない。みんなが知っているような、どちらかというと「ごきげん」な感じの映画ばっかりのっているのだけど、第一巻の初版は実に1975年のもの。ずいぶん昔のモノである(生まれてすらいない)ので、わたしにとっては新鮮な映画ばかりだった。 この本のおかげで、わたしは中学の時分からずいぶん「古き良き」映画のファンになってしまった。学校帰りにツタヤによっては、本の後ろにある索引を眺めながら、まだ見てない映画を借りていく。おかげで、あの時代の映画には今でも随分くわしくなった。 今はどうだか知らないが、池袋駅前のテアトルではたまに昔の映画を銀幕で上映してくれていた。ビデオで見たものも、もう絶版のものも上映していたので頻繁に足を運んだものだ。学校にいくふりをし、お小遣いを握りしめて電車に1時間ばかり揺られるのである。思えば牧歌的な中学生活だった。まったく勉強していなかった気がする。 脚本家の三谷幸喜さんも「お楽しみはこれからだ」のファンであったらしい。この2人は「それはまた別の話」という映画の本をだしている。もちろん、こちらもとっても面白い。こちらは、一本の映画について「語り尽くす」といたドープな本だから方向性はちょっと違うのだけど。 さて、「それはまた別の話」というのは、ビリー・ワイルダーの「あなただけ今晩は」という映画の中で、主人公が通うバーのマスターの口癖である(余談だが、ビデオではこのセリフの訳が「こりゃまた余談」となっている。ずいぶんがっかりしたのだった)。三谷作品の「王様のレストラン」というドラマのナレーションがこれまた「それはまた別の話」というセリフを言っていたけれど、これももちろん一緒だ。 かつての名店に今では閑古鳥が鳴く、それを引退していたウェイターが再び盛り上げていく、というのが「王様のレストラン」のあらすじ。ドラマの最後では、さまざまなトラブルを解決して店がかつてのような活気を取り戻す。しかし、最後の最後に怪しげな男が来店し…。さらなるトラブルを予感させてドラマは終わる。 このオチのつけかたは…、ここでは「それはまた別の話」にしておこう。
by oidon-kagoshima
| 2005-01-30 15:58
| エッセイシリーズ
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